2013年5月12日日曜日

ペリーの黒船楽団 再現プロジェクト その1 ペリー黒船楽団の教本発見!


 ペリー黒船楽団の教本

  これは1854年3月27日横濱沖のペリーの黒船の上で演奏されたミンストレルショー*1 の当日配られたプログラムです。
 ミンストレルショーは当時アメリカで大人気だった最新のエンターテイメントでオペラのバーレスクのような喜劇でした。これは記録に残る日本で初めて披露されたアメリカ大衆芸能で、アメリカからの西洋音楽の演劇、コメディー、漫談、ダンス、合唱、各楽器(バンジョー、ギター、バイオリン、フルート、タンバリン、トライアングル等)の日本初演でもあります。*2
 ミンストレルショーは白人が顔を黒く塗り、当時の南部の奴隷の黒人の風習や北部に進出していた黒人を風刺して黒人言語で面白おかしく歌われました。

 日米和親条約の四日前にペリーは黒船ポウハタン号に日本の役人約70名を招き、肉料理やワインなど最高のもてなしをした後にそれは披露されました。これを見たアメリカの船員や日本の役人達は大笑いして役人の松崎満太郎などはペリーの肩に手を回して「アメリカ人も日本人も心は一つ」とペリーの腕章をつぶしたとの記述が残っています。
 これらの事は故 笠原 潔(放送大学教授)著の「黒船来航と音楽」*3 に詳しく書かれています。
 ミンストレルスタイルのショーを演じていたのは専門のミンストレル芸人ではなく、船員達だと言われています。果たしてアマチュアの船員達にこのような完璧なスタイルのミンストレルショーが出来たのか疑問でした。
 この本に出会った10年前何気なくネットで楽曲を検索してみるとすぐにアメリカの議会図書館のホームページに当時のミンストレルソングのピアノ楽譜 *4 が見つかりました。それらを当時の編成で再現したくなりメンバーを募りコンサートを企画しました。しかし横濱公演の全12曲中見つかった譜面は半分ほどでした。
 
 バンジョーは南部の黒人が弾いていた楽器を真似てこのミンストレル芸の為に作られた当時の最新の楽器でした。バージニアミンストレルズのJoel Walker Sweeney(ジュエル ウォーカー スゥイニー) *5 が作った楽器といわれています。横濱の演奏曲の「Old Tar River」はこのスゥイニー作のものです。
 私は1854年を横濱バンジョー伝来元年とし、150年後の2004年から毎年春にこの地で「横濱バンジョー祭り」*6 を開催してきました。今年で10回目を迎えます。
 この10年アメリカではミンストレルバンジョーのSNSサイトも誕生したり、そのメンバーが当時印刷されたミンストレルバンジョー譜を演奏してすべてyoutubeで公表したり、いくつかの図書館でミンストレルの資料がネットでも公開されるようになってきました。
 しかし「Sally Weaver」と「Canal Boys」の2曲はメロディーすら分かりませんでした。

 今年に入りミンストレルバンジョーSNSサイト *7 で知った1848年49年「Ethiopian Glee Book」*8 をアメリカの図書館のサイトで見つけました。これは当時最も流行っていたクリスティーミンストレルズの歌集で4部コーラスの合唱譜も記載されています。
 この中に一曲目の「Picayune Butler」*9 の譜面を見つけ、他の曲も調べたところ、不明の2曲と思われる楽曲が見つかりました。これ等はタイトルではなくSally Weaverは題名の短縮した呼び名 *10 でCanal Boysは連呼する歌詞 *11 のでした。
 しかも横濱で演奏された12曲中、7曲もそこに含まれていました。
 さらにこの本と同じシリーズでミンストレル用のバンジョー教本 *12、バイオリン教本、フルート教本 *13 も出版されていました。
 もしこの教本で船員達が演奏やコーラスを習得したとするならば、ミンストレルではあまり使われないフルートが使用されていた事も納得できます。
 ペリーの航海日誌には「彼らはクリスティーの様に上手く披露した」との内容が記載されています。

 これを出版販売していたのはELIAS HOWE(エリアス ハウ) *14 という人物で、ミシンの発明でも有名な方で、当時シンガーがその版権を買い大量生産していました。
 黒船来航時ペリーは徳川幕府にミシンを献上したのは有名な話です。篤姫が使用したと言われています。
 何か点が点が線で繋がったようで驚くばかりです。

 これらの教本を使えば近い将来、アマチュア楽団が演奏した黒船ミンストレルショーの完璧な楽曲の再現ができるのではないかと思っています。
 見ていた役人の中にはその後、開国派に向かう者もいれば攘夷派もいました。この白人が顔を黒塗りして歌い飛び跳ね、女装までしたこの滑稽なショーは当時の役人にその後どのような印象や思想を与えたのでしょうか?

 もしお読みいただいて何かに興味をもたれた方、是非あなたも調べてみませんか? 楽曲に興味をもたれた方、演奏してみませんか? 多くの方に知って貰えたらうれしいです。
 これは音楽だけではなく、文明を取り入れる前の日本人の姿を想像したり、現代の日本人が得た物、失った物について考るきっかけになるのではとも思っています。
 
 是非、何でも結構ですご感想をお待ちしています。

 原さとし

*1 ■ミンストレルショー ウィギペディア:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC

*2 ■黒船絵巻「黒船と侍」ペリー提督と日本の開国(1853-1854)マサチューセッツ工科大学:
http://ocw.mit.edu/ans7870/21f/21f.027/black_ships_and_samurai/bss_essay05.html

*3 ■吉川弘文館「黒船来航と音楽」笠原潔著:
http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b33723.html
※放送大学の教授 笠原潔さんが書かれた、黒船のミンストレルショーに関して最も詳しく解説されている書籍。その笠原先生は誠に残念ながらご病気で2008年若くして他界されました。

*4 ■「Massa's in the cold ground」フォスター作(主は冷たい土の中)の テネシー大学のHP:
http://diglib.lib.utk.edu/utsmc/main.php?bid=447

*5 ■Joel W.sweneey ウィギペディア:
http://en.wikipedia.org/wiki/Joel_Sweeney

*6 ■横濱バンジョー祭りサイト:
http://www.officek.jp/idaten/ybf/

*7 ■ミンストレルバンジョーコミュニティー Minstrel Banjo ning:
http://minstrelbanjo.ning.com/

*8 ■1848年49年「Ethiopian Glee Book」:
http://archive.org/search.php?query=Ethiopian%20Glee%20Book%20AND%20collection%3Aamericana

*9 ■「Ethiopian Glee Book」Picayune Butlerの楽譜と黒人のバンジョー奏者Picayune Butlerのウィギペディア:
http://archive.org/stream/ethiopiangleeboo00howe#page/116/mode/2up
http://en.wikipedia.org/wiki/John_%22Picayune%22_Butler

*10 ■「Ethiopian Glee Book」Sally Weaverの楽譜:
http://archive.org/stream/ethiopiangleeboo00howe#page/34/mode/2up

*11 ■「Ethiopian Glee Book」Canal Boysの楽譜:
http://archive.org/stream/ethiopiangleeboo00howe#page/148/mode/2up

*12 ■The Complete Preceptor for the Banjo:
http://ulib.hamilton.edu/omeka/exhibits/show/banjo/manuals/item/4

*13 ■Ehiopia Flute Instructor:
http://www.williamreesecompany.com/shop/reeseco/WRCAM46062.html

*14 ■ELIAS HOWE(エリアス ハウ)ウィギペディア:
http://en.wikipedia.org/wiki/Elias_Howe


2013年5月10日金曜日

吉祥寺エアガレージでバンジョーレッスン始めます!!

バンジョー奏者でありながら実はバンジョー講師歴も30年と長くやってます。
この度バンジョーの魅力を是非中央沿線の音楽ファンの皆さんにも知ってもらいたく吉祥寺エアガレージでレッスンを始める事になりましたよろしくお願いします。


【バンジョー】
はアメリカ生まれの唯一の伝統楽器。楽器のルーツはアフリカ、メロディーはヨーロッパ、かつては黒人奴隷から英国上流階級にまで人種や民族を超えて愛された楽器です。音は、弦の振動を木と金属と革に同時に響かせる為、さまざまな音色が出ます。ドラムに近い短いサスティーンのお蔭で早弾きしても粒立ちよく軽快で陽気なサウンドは唯一ですが、ポツンと弾く音の物悲しさも独特です。1854年ペリーの黒船で日本で初めてアメリカのポピュラーミュージックを伝えた楽器でもあり。日本の西洋文明の幕開けにも密接に関わる楽器です。

【レッスン】
・グループレッスン
は何方でも面白いほど簡単にバンジョーが弾ける講師考案の色楽譜を使い楽器未経験の小学生から、5段階にレベル分けされたTAB譜でバリバリのバンジョープレイヤーまで何方でも貴方にあったレッスン方法でレクチャーします!

・マンツーマンレッスン
ならお好きな楽曲のコピーやレッスン用のマイナス1CDもその場で作って差し上げます。

【まずは体験レッスン】
5月12日(土)14:00~15:30体験レッスンがあります。
楽器経験問わず&手ぶらでOK 詳細はこちらです。
http://t.co/RDrWoaW7vz

是非お気軽にどうぞ!

原さとし


2013年5月3日金曜日

トイメンシャオライブCD&DVD出来ました!

【トイメンシャオ】

バンジョー&ボーカル:原さとし
マンドリン:竹内信次
ソングライター:中村十兵衛

2010年よりNHKのEテレの「ニャッキ!」「銀河銭湯パンタくん」の作曲家であり、スーパーマンドリン、プレイヤーの竹内信次を招き再始動した、トイメンシャオ。

この3年間のライブベストテイク10曲を収録したCD
◉トイメンシャオ ライブCD 2011〜2013 at Apia40 ¥1500


2013年2月のApia40でのトイメンシャオのライブの模様をノーカットで収録したDVD
◉トイメンシャオ ライブDVD at Apia40
¥2000

◉CD&DVD 発売記念特価 ¥2500

ライブの度、毎回自由に展開するボーカル、バンジョー、マンドリンで織りなす、十兵衛ワールドの今現在のリアルなトイメンシャオを老舗Apia40の最高の音質で是非お楽しみ下さい。

【お申し込み方法】
・◉CD、◉DVD、◉CD&DVD
のいずれかと
・ご注文枚数
・お名前、
・発送先ご住所
を明記の上、
下記メールにて
harabanjo@gmail.com
ご連絡下さい。


2013年5月2日木曜日

ホームページを開設しました。


今後、活動をこちらのスペースで紹介していきます。
どうぞよろしくお願いします。

Satoshi Hara Various Banjos